香り見本はどこまで化粧品本品の香りを再現できるのか

ヘアケア製品の売場で親しまれている香り見本。その活用を化粧品売場へ広げるうえで、鍵となるのが、本品の香りをどこまで再現できるかです。

売場で香り見本を手に取って気に入ったのに、買って帰った本品を開けてみたら「あれ、何だか違う」と感じてしまう。

香りで差別化を図る高級化粧品やヘアケア製品にとって、このわずかなズレは、ブランドへの信頼やブランド体験の一貫性に関わる課題です。

では、香り見本は本品の香りをどこまで再現できるのでしょうか。ここでは、見本と本品で香りが変わってしまう理由や、再現性を高めるために設計・確認しておくべきポイントについて、香り見本の導入を検討されている商品企画・販促担当の方向けに整理します。

香り見本と本品で香りが変わる3つの理由

「同じ香料を使っていれば同じ香りになる」とは限りません。見本と本品の間には、香りの広がり方を変えてしまう条件の違いが少なくとも3つあります。

1つ目は、基材の違いです。本品がシャンプーやクリームの場合、香料は界面活性剤や油分の中に溶け込んでいます。一方で香り見本では、香料を見本専用の媒体に含ませます。香料の成分が空気中へ放たれる環境が違えば、鼻に届く成分のバランスもおのずと変わってきます。

2つ目は、嗅ぎ方の違いです。本品は泡立てたり肌に塗り広げたりして使いますが、売場の見本は手に取ってほんの数秒嗅ぐだけです。そのため、最初に立ち上がる香りの印象が強く残り、本品を使ったときに感じられる香りの広がりや、時間とともに変化する香りまで十分に伝わらないことがあります。

3つ目は、時間の違いです。見本は店頭に何か月も置かれます。揮発しやすい成分から先に減っていけば、置いた直後と数か月後とでは、香りの印象が変わってしまう可能性があります。

「同じ香料を入れる」だけでは再現にならない

一般的な作り方では、本品で使っている香料をそのまま見本の媒体に入れます。ただ、条件が異なる以上、同じ配合にしたからといって同じ香りにはなりません。本当に再現すべきなのは配合の比率ではなく、「本品を使ったときの香りの印象」なのです。

そのためには、本品の香りを基準に見本を試作し、媒体の特性に合わせて香料の量や、必要に応じて配合バランスを微調整していくプロセスが欠かせません。どの香りが強く出すぎているのか、何が足りないのかを嗅ぎ分け、調整につなげる。ここで重要になるのが、調香師の専門性です。

そのためには、本品の香りを基準に見本を試作し、媒体の特性に合わせて香料の量や配合バランスを微調整していくプロセスが欠かせません。

プロモツールでは、香り技術研究所の調香師が、本品と見本の香りを比較しながら、香料を含ませる量(賦香量)を細かく調整し、製品本来の香りの印象に近づけています。本品に含まれる香料以外の原料も香りの感じ方に影響するため、完全に同一の香りにならない場合もありますが、ご要望に応じた個別対応が可能です。また、本品に使用している香料を見本用に輸入・調達できない場合には、本品の香りをもとに、見本用の香料を新たに調香することもできます。

これは、香りOEMで開発したオリジナルの香りを見本化する場合も同様です。香水と見本とでは媒体が違いますので、香水として感じられる印象をゴールに見据え、見本としての配合を改めて確かめていきます。

試香紙と香料サンプルを用いた香りの評価イメージ

再現性をどう確かめるか——官能評価と機器分析

狙いどおりに再現できているかどうかは、人の感覚と科学的な分析の両面から確かめます。

まず官能評価では、本品と見本を並べて、つけ始め・中盤・残り香のそれぞれのタイミングで、香りの強さ・香調・バランス・違和感がないかを記録していきます。本品は実際の使い方で、見本は売場での嗅ぎ方で評価することが大切です。評価する順番を入れ替えながら複数回繰り返し、感じられた違いが一時的なものではなく、繰り返し確認できるものかを確かめます。

続いて機器分析では、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)を用いて、試料の上にある空気中の成分を比較します。どの成分が本品より多くてどれが少ないのかが分かれば、調香師が感じた「香りの違い」の理由を探る手がかりになります。ただし、検出された量の大小が、そのまま人の感じる香りの強さと一致するわけではありません。そのため、分析結果だけで判断せず、調香師による官能評価と照らし合わせることが重要です。

プロモツールには、日本を代表する調香師である香り技術研究所所長・マスター調香師の渡辺武志をはじめとする調香師陣と、ガスクロマトグラフィーによる成分分析を手がけるフレグランスアナリストが揃っています。

店頭で何か月も「同じ香り」であり続けるために

せっかく忠実に再現した香りも、店頭に置いているうちに崩れてしまっては意味がありません。香り見本の形状や構造は、香りの持続性に直結しています。

プロモツールのプッシュタイプをはじめとする香り見本(アロマテスター)の各種仕様・持続性に関する詳細は、アルミ袋と、開口部を1〜1.5mmに抑えた独自構造によって自然な揮散を防ぎ、押したときだけ香りが広がる仕組みになっています。香りの持続期間は、香料の種類や設置・使用条件によって異なりますが、約3か月から、長いものでは1年以上保たれる例もあります。長期間の店頭設置では、初期の香りの再現性に加え、その印象をどれだけ維持できるかも重要です。

また、主要部材をすべて紙で仕上げた「全紙製アロマテスター」の受注もスタートしており、環境配慮を大切にされるブランドにもお応えできます。使用する香料は、用途に応じたIFRA基準に準拠して設計しています。

香り見本(アロマテスター)の台紙サンプル

高級化粧品の香りの価値を、売場で正しく伝えるために

香り見本は、お客様がブランドの香りに初めて触れる大切な接点です。ここで本品と同じ印象をしっかり届けることができれば、購入した後の体験まで一貫したブランド体験になります。逆に、見本と本品にズレがあると、どれほど本品の香りにこだわって作り込んでいても、その価値が売場でお客様に伝わりません。

プロモツールの香り見本「アロマテスター」は、2014年4月の発売以来、累計販売数1,250万個を超え、日用品から化粧品・香水、飲料、お菓子に至るまで幅広い業界でご採用いただいています。資生堂やコーセーなどの空間の香りづくりの採用実績で培った調香のノウハウを、見本の設計にも活かしています。

香り見本づくりで何より大切なのは、本品を使ったときの香りの印象をゴールに据え、媒体や時間といった条件の違いを踏まえて、見本の香りを設計することです。同じ香料を含ませるだけでは埋められない違いを見極め、調整する。その役割を担うのが調香師です。

プロモツールでは、調香師による再現と成分分析による確認を組み合わせることで、売場から本品まで一貫した香りの体験づくりを支援しています。

高級化粧品やヘアケア製品の香り見本、あるいは香りOEMで開発した香りの見本化をご検討の方は、本品のサンプルと「伝えたい香りの印象」を添えて、プロモツールへご相談ください。

この記事の関連タグ

あわせて読みたい