「香水砂漠」とまで言われていた日本の香水市場ですが、2022年その風向きは変わってきたようです。3年ぶりの大規模開催となった伊勢丹サロンドパルファンの大盛況ぶりがそれらを物語っていました。一部のマニアだけでなく、年齢層も男女問わず幅広い層に香水ファンが広がってきています。そこで、香水にまつわる用語で気になるものを今一度おさらいしておきませんか?
香水の分類にはお花の香りのフローラルノート、柑橘類のシトラスノートなど分かりやすいものもありますが、フゼア、シプレ、オリエンタルにアンバー、すでに定番となってきたグルマン。これらの分類についてはモヤッとしていてよくわからない、何が入っているの?どんな香り?と思われている方もあるかと思います。ここで今一度復習しておけば、あなたはもう立派な香水マニアの仲間入りです。
もう、香水売り場で悩むこともないでしょう!ワインのソムリエのように、素敵な香りのワードもつむぎながら、販売員さんとの会話も進みます。
それでは、香り上級者を目指しておさらいしていきましょう。
香りの分類について
絵の具のパレットや色相のように、香りにも香料のパレットが存在します。それらを香調(こうちょう)と言い、また、香りのノート(note)と呼びます。複数の香料を使いまとまった香りを表す言葉として使われています。
*主な香水の香調(ノート)の分類
- シングルフローラルノート
- フローラルブーケノート
- フローラルグリーンノート
- フローラルアルデヒドノート
- シプレノート
- レザノート
- オリエンタルノート(アンバーノート)
- フロリエンタルノート
- シトラスノート
- オーデコロンノート
- ユニセックスノート
- フゼアノート
- グルマンノート
- スパイシーノート
- タバコノート
- ウッディーノート
もっと細かい分類もありますが、上記の中からシプレノート、オリエンタルノート(アンバーノート)、オリエンタルノート、フゼアノート、グルマンノートについて、深堀していきたいと思います。
シプレノートとは?
シプレ(Chypre)とはヴィーナスが誕生したともいわれている地中海に浮かぶ島、キプロス島(Cyprus)に由来します。
元々は17世紀、ロシア皇帝のためにだけ作られたEau de Cypreという化粧水のようなものが作られました。その後18世紀にはフランスの調香師によりEau de Cypreの模倣がされ、それは甘くパウダリーで、フローラルに濃厚で甘い樹脂系のラブダナムを効かせたものでした。20世紀初頭になるとフランスの香水会社コティーがこのテーマに挑戦し、大成功を収めました。このシプレが代表作となり、“シプレノート“と呼ばれるようになったのです。
今までになかった新しいコンセプトのこの香水には、地中海のキプロス島で育つさまざまな植物が使われました。
シプレノートは、ベルガモットのトップノートにフローラルのアブソリュート(ローズ、ジャスミン、イランイランなど)、ベースにはオークモス、パチュリ、サンダルウッド、特
徴的なラブダナムなどのアニマルノートが深みを醸し出しています。
ベルガモットの軽やかなトップに重いオークモスや甘く重厚なラブダナムといった香りがミックスされ、かつ調和がとれている複雑な香りなのです。奥深いのに清楚であり、気品のあるミステリアスな雰囲気が印象的です。
代表的な香水:MITSOUKO
ここ大事!シプレノートとは、、、
*シプレの語源はキプロス島、大ヒットしたコティーの香水の名前から
*香りはトップのベルガモットとオークモスやラブダナムの深みのある組み合わせが特徴の気品あふれる香り
当社のオンラインショップで人気のある商品に、シプレノートのリードディフューザーがあります。気品のあるシプレノートの香りと、洗練された器のリードディフューザーでお部屋のインテリアもワンランクアップさせてみませんか?
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中でも“悠香(HARUKA)“はベルガモットやパチュリが特徴的なシプレの香りです。
■「和の香」リードディフューザーセット 悠香(HARUKA)
日本古来より歌を愛し、お香を焚いて楽しんだ雅な和の世界を香りで表現しました。
十二単のように、オークモスやアンバーの複雑な香りが折り重なる悠久の時を超えた香りです。
オークモスやアンバーの香りが特徴です。
トップノートのシトラスから、艶やかなるスパイシーローズに包まれ、
ラストノートのラブダナムが高貴なお香のように香る
雅な和の世界を表現しました。
Top: ベルガモット
Middle: ローズ・ジャスミン
Last: ラブダナム・パチュリ
https://essenceon.jp/store/products/detail/38
オリエンタル(アンバー)
オリエンタルという言葉は、西洋から見た東の世界。主に、中近東や様々なスパイスの産地であるアジアの地を表しているのでしょう。西洋の人々が命がけの大航海をしてでも欲しかったアジアの国々でとれるスパイスや花々、中東で扱われていた樹脂類の香料。遠い国々へのエキゾチックでミステリアスなイメージが詰まった香りが、オリエンタルノートとして欧米で大変人気のある香調となったのです。
オリエンタルノートと言えば、琥珀色に輝く香水が思い浮かぶと思います。
オリエンタルノートは、樹脂系(ラブダナム、ベンゾイン、ベチバーなど)、動物系(ムスク、シベット、カストリウム、アンバーグリス)、エキゾチックな花々やスパイス(パチュリ、イランイラン、クローブ、ナツメグ、シナモンなど)、そして、サンダルウッドやバニラなどで構成されています。パウダリーで深く甘いセクシーな香りが特徴のオリエンタルノートですが、近年、使用不可能な香料も増えて処方を変えざるを得ない名香もあるとのことです。
また最近では、この「オリエンタルノート」という言葉が曖昧で、時代にそぐわなくなっているので「アンバーノート」という言い回しへと変化しつつあるようです。
しかしこのアンバー。マッコウクジラからとれる結石と呼ばれる動物性香料の龍涎香(りゅうぜんこう)、アンバーグリス(Ambergris)とは全く別物なのでお間違えの無いように!
代表的な香水:OPIUM
ここ大事!オリエンタル(アンバー)ノートとは…
*西洋から見た東洋のイメージ
*パチュリ、バニラ、サンダルウッド、ラブダナムなどの樹脂系香料、スパイスがかもし出すエキゾチックでミステリアスな香り。
*今後、オリエンタルノートからアンバーノートへ変化か
グルマン
古い香水や香料の文献には載っていない、最も新しい香調、グルマンノート。グルマン、とはフランス語で“食いしん坊“という意味で、焦がした砂糖のような、歯が解けそうな甘いお菓子を連想させる香りがします。1992年に発表されたエンジェルという香水の大成功から始まりました。まるでCHANEL No5でいう、ALDEHYDEのオーバードーズ(入れすぎ)のように、とにかく甘い合成香料のエチルマルトールを、今までの何倍も配合したのです。また、この甘さに負けないくらいにパチュリが効果的に使われています。今までになかった香調、おいしそうな香りの誕生です。バニラ、ミルク、ハニー、クリーム、キャラメルに和三盆。甘いお菓子が人々を癒してくれるように、甘い香りは私たちの心を優しく、甘く溶かしてくれるのでしょう。
代表的な香水:Angel, Lolita Lempicka,
ここ大事!グルマンノートとは…
*グルマンとは食いしん坊という意味で、おいしそうな甘い香りのこと
*エチルマルトールとパチュリの出会い、エンジェルから始まった
フゼア
“男性らしい香り”の定番と言われてきたフゼアノート。伝統的な紳士の香り、フゼアノート。でも、フゼアって何???と思われている方も多いのではないでしょうか。
マリーアントワネットも死の直前まで愛用していたといわれているフランスの香水メーカー、ウビガン社。このウビガン社が1882年に世界で初めて合成香料のクマリンを使い香水を調合しました。この香水こそ、ラベンダー、ゼラニウム、オークモス、クマリン、バニラなどハーバルであり甘さもある幻想的な香り、フゼアノートの原型となった「フジェール・ロワイヤル(Fougère Royale)」なのです。フゼアノートといえば、トップに地中海でとれるハーブ(ラベンダー、ローズマリー、タイム、カモミールなど)や柑橘類(ベルガモット、レモンなど)も多く使われています。また、ベースにはオークモス、クマリン、ベチバー、パチュリ、ラブダナムなどが使われています。ちなみにクマリンは桜餅の匂いがします。
代表的な香水:Fougère Royale, H24, EGOISTE PLATINUM
ここ大事!フゼアノートとは…
*ウビガン社の名香フジェール・ロワイヤルから派生
*ラベンダー、ゼラニウム、オークモス、クマリンのほかに地中海のハーブやシトラスなどを使い、ハーバルな中に甘さもある都会的なできる男の香り
いかがでしょうか?
モヤッとしていた、この四つのノート、これであなたもマスターできたのではないでしょうか?香り選びのアクセントに思い出していただけたら嬉しいです♪