カシス

赤や紫のつぶつぶした酸味のある木の実のカシス。ジャムをはじめ、スイーツや、リキュールに使うだけではなく、北欧では肉料理にベリーソースを添えるのも一般的です。

今回はベリーの仲間、カシスを紹介します。

カシス=クロスグリ=ブラックカラント



ユキノシタ目スグリ科のカシス。 フランス語でカシス、和名でいうとクロスグリ。英名はブラックカラントと言います。 独特の苦みと酸味があり、欧米ではポピュラーな味や香りです。 世界最大の産地はポーランドやリトアニア。また、ニュージーランドやカナダでも栽培されています。日本では青森で栽培されています。

おしゃれで万能なカシスリキュール


日本でも、お酒をたしなまれる方にはカシスリキュールを使ったカクテルのカシスソーダ、カシスオレンジがお馴染みですね。ほのかな苦みのあるカシスはちょこんと飾られたミントの葉ともよく合います。スイーツの世界でもカシスリキュールはその色と香り、味わいで大人気です。チョコレートとの相性も抜群。カシスのソルベ、カシスのムースなどベリーの鮮やかな色と香り、酸味が華やかなデザートにはなくてはならない存在です。

カシスのビール?



ベルギーのブリュッセル近郊でのみ作られるランビックビール。約500年もの歴史ある、自然発酵ビールです。この土地でしかできない地ビールです。強い酸味が特徴的で、いくつかの種類がありますが、中でもフルーツランビックというフルーツを漬け込み熟成させたビールのカシスランビックは爽やかな酸味と豊かな風味、美しい濃いピンク色が女性にも大人気です。ビールが苦手な方にも是非一度飲んでいただきたいカシスビールです。フルーツランビックにはカシスの他にも、フランボワーズ、アップル、チェリー、パイナップル、ピーチ、バナナ、パッションフルーツ、リンゴなど、様々なフルーツビールがありますので、飲み比べてみてください。

 

カシスの効能


カシスには、ビタミンCがオレンジの3倍、ビタミンEにおいてはオレンジやイチゴの4倍も含まれています。ミネラルもバランスよく含まれています。これらに加え、カシスポリフェノールも豊富に含まれるので、摂取後15分で血流が改善されると言われています。

おしゃれなスムージーやアサイーボウルには欠かせない、美容や健康を気にされる方には注目の果実です。ベリー系フルーツでおなじみ、ブルーベリーに含まれるアントシアニンという目に良いとされる成分ですが、カシスにもカシスアントシアニンが含まれており、抗酸化作用や末梢血流を改善するので目の下のクマや腰の痛みにも期待できるようです。抗酸化力はブルーベリーよりも上回っていると言われ、アンチエイジングに注目されている果実なのです。

調香師コラム~カシスの香り~


カクテルの定番カシス

調香師の匹田です。思うように国内外のリゾートに行かれなくなって、個人的にとても恋しいものの1つにカクテルがあります。彩り豊かなリキュールやシロップがずらりと並んだカウンターを目の前に、自分が頼んだカクテルを待つあの気持ちは、やっぱりお店に行ってこそ♪テラス席でブルーハワイ、ピニャコラーダ、チチなんて良いですよね~。しっかり酔いたいときはロングアイランドアイスティーなど。後半はXYZやマティーニなどのカクテルグラスでいただくお酒も良いですよね。前置きが長くなりましたが、今回はカクテルの定番でもあるカシスについてお話したいと思います。

カシスフレーバーについて

カシスはクロスグリやブラックカラントとも呼ばれ、リキュール、ムース、ジャムなど様々なものに使われています。カシスオレンジ、カシスウーロンは飲みやすくカクテルの定番ですし、キールやキールロワイヤルもワインが少し苦手な方でも飲みやすいと思います。フレーバーにおけるカシスは大雑把にまとめるとベリー系の風味、プルーンやレーズンみたいに赤黒くとろっとした果物の雰囲気があります。

フレグランスでのカシスは名バイプレーヤー?!

フレグランスのカシスはパッションフルーツのような跳ねた酸味、グレープフルーツの苦味のあるピール感、果実を種ごとすりつぶしたようなグリーン感があります。実はフレグランスでは大変ポピュラーな香りなんです。カシスの香りってポピュラーなの?と思う方もいるかもしれませんが、香水、シャンプー、ディフューザーなど様々な調香の脇役で使うことが多いんです。

代表的な香水だと、

Salvatore Ferragamoの”incanto charms”、Diptyque の“Eau Rose”ではとても効果的に使われています。フレグランスのカシスは、実際の果実に本来備わってはいるものの、果実からは微かにしか感じとれない香気を特徴として全面に出し、使いやすくアレンジしたものになります。フレーバーとの決定的な香りの違いは、フルーツらしいみずみずしさとジューシー感がないことです。ですので美味しそうな香りではなく、アーティフィシャルな香りです。フルーツらしい部分は後から他の要素で補えるので、むしろ無い方が使いやすいんです。フルーティーやグリーン部分とフローラル部分を結びつけるような感じで使いますが、ローズの調香では、特に薔薇の棘を感じさせるワイルドでナチュラルなグリーン感が付与できます。ストロベリーやラズベリーなどのベリー系もそのままだと甘くなりすぎて単調になるので、カシスを併用することで香りに動きがつきます。実際に市場の香り製品をみても香調説明にカシスと書かれているものは少ない気がします。もちろん記載がなくてもカシスを主役級に感じられる製品もありますが、説明にはカシスと書いていない…。カシスは事実上主役もできるが主役の陰になることが多い存在。そして無いとなんだか物語がスムースに進行しない…そんな名バイプレーヤー的な存在かもしれません。

調香師直伝!カシスリキュールのおススメ使い方

余談になりますが、カルーアミルクやカシスミルクなど牛乳で割るカクテルを飲む際、是非シェイカーで作ってみてください。泡立った牛乳がリキュールの風味を包み込んで体感のある味わいが楽しめますよ。

 
まとめ


◆カシスは別名、黒すぐり、ブラックカラントとも言う。

◆カシスはお菓子からビールまで様々なフレーバーとして活躍。

◆カシスは抗酸化力が期待できるので美容や健康、アンチエイジングに期待できる。

◆カシスは香料界では、主役ではないけど、無くてはならない存在の名バイプレイヤー。

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