みなさんは最近よく眠れていますか? 人間にとって睡眠はなくてはならないもの。
しかし、多様になった生活様式や日々のストレス。
寝つきが悪い、眠りが浅い、睡眠の質が悪い、などお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そもそも人はなぜ眠るのでしょう?
あの人気番組、永遠の5歳児のお答えは、「飢え死にしないため」だったようです。生き物は食物(栄養)を摂取してエネルギーに変え消費して生きています。
運動など活動していなくても、じっとしていてもエネルギーは消費されていきます。これが基礎代謝です。自然界ではいつご飯(獲物)にありつけるか分からないので、エネルギーを蓄えておく時間が必要です。そこで睡眠という方法が生まれたのです。
これはとても原始的なレベルでの睡眠の話ですが、私たち人間における睡眠とは、どのようなものなのでしょうか。
それには2つの重要な調節機関がかかわっているようです。
私たちの身体の調整システム「ホメオスタシス」
先ずは私たちの身体の仕組みについて考えてみましょう。
・身体の働きを調節する「自律神経系」(交感神経/副交感神経)
・ホルモン分泌をつかさどる「内分泌系」
・遺物や病原菌から体を守る「免疫系」
この3大システムが体のバランスを保つ働きを、「ホメオスタシス(恒常性)」と言います。
私たちの身体はこの3つのシステムがバランスよく働くことで調整され、全身の機能が保たれているのです。
生活における変化はすべてストレスになりうるものですが、それらに耐えて正常に保つのがホメオスタシスの働きです。
適度なストレスはレジリエンス力(回復力・しなやかな強さ)によりストレス対処が行われ、むしろやりがいにつながるなど良い結果が生まれることもあります。
しかし、過剰なストレスが加わりストレスホルモン(コルチゾール。副腎皮質から分泌されるホルモン)が過剰分泌され続けると様々な体調不良や精神症状が表れてきます。
自律神経がストレスに立ち向かい、交感神経が活発になり過ぎ、副交感神経とのバランスが崩れます。症状はめまいや動悸、息切れ、頭痛など体の症状として現れ、また、不安や緊張、圧迫感などの心の症状も現れてきます。ホルモンバランスも崩れ、免疫力も弱まって、病気を引き起こすこともあるでしょう。
このようにホメオスタシスが機能しなくなった状態を自律神経失調症といいます。
眠れない、疲れが取れないなどの原因は、ストレスにより身体のホメオスタシスが正常に働かない場合が多いのです。
病気は見つからないものの、なんだか眠れない、胃腸の調子が悪い。
そんなときは、脳が疲れている証拠かもしれません。
時には心と身体の声を聴いて、自分にも優しく、心を柔らかく持っていくことも大切です。
良い眠りは、ホメスタシオを整えるためなくてはならないものですが、良い眠りとはどのようなものなのか、どのように得られるのでしょうか。
眠りのメカニズム「サーカディアンリズム」
眠りには3つの仕組みがあります。
・恒常性維持機構(疲れたら寝る仕組み)
・体内時計機構(サーカディアンリズム)
・覚醒調整機構(目覚めている状態を維持する仕組み)
疲れたら寝る。
一番シンプルな仕組みです。眠りによって日々の疲れもリセットされます。
この仕組みを無視して、夜更かし、徹夜をする学生さんも増えていますが睡眠不足は翌日の作業の質が下がるのでテスト前夜にはお勧めできません。
夜になったら寝る。
サーカディアンリズム(体内時計)とは生物が生まれながらに持っている生体リズムのことです。
人間の体内時計は実は24時間ではなく、25時間周期です。ですから少しずつ夜型になってしまうと言われています。しかし、人間は同調因子(光・時間の認識・食事・運動・外出週間)により24時間周期へとリセットされ、日々規則的な生活が送れるのです。
睡眠をコントロールするこのサーカディアンリズムには2つのホルモンが深く関わっています。
<メラトニン>
良い眠りの正体、別名「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニン。メラトニンの量が多いと入眠しやすく、そして深い眠りが得られるのです。
<セロトニン>
別名「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニン。このセロトニンこそがメラトニンの材料になり、良い睡眠へ誘ってくれる大切なホルモンなのです。日中に多くのセロトニンを作っておけば、夜にメラトニンが良く分泌され良い睡眠につながります。
セロトニンを増やして自律神経を整える
良い眠りの元である、セロトニンを増やすにはどうしたらよいのでしょうか?
・太陽の光を浴びる
・規則的な運動をする
・たんぱく質(トリプトファン)をとる
太陽の光を浴びる
朝や日中、しっかりと太陽の光を10分から30分浴びます。(家の中の照明ではダメ)目の網膜が感じた光はセロトニンを活性化させます。
夜になり、セロトニンはメラトニンへと変わります。
規則的な運動をする
散歩、深呼吸を取り入れた軽い運動、リズミカルによく噛んで食べる。
出来れば日差しを浴びながら、リズムよくウォーキングするのがベスト。
たんぱく質(トリプトファン)をとる
神経伝達物質のセロトニンは必須アミノ酸であるトリプトファン(たんぱく質)から生成されます。幸せホルモンのセロトニンが足りないと、イライラや不安感に襲われたりします。トリプトファンが多く含まれる食材でお勧めは大豆製品、ナッツ製品などです。
生成するためにはビタミンB6(ナッツや青魚)と炭水化物(ご飯やパン)も大事なので、バランスのとれた食事が何よりも大切です。
トリプトファンが多く含まれる食材(可食部100㎎当たり)
大豆 520mg
かつお 300mg
カシューナッツ 360㎎
プロセスチーズ 290㎎
牛レバー 290㎎
香りでトトノエル睡眠週間
より良い睡眠を得るには、心地よい環境を整えることが効果的です。
・部屋の照明は間接照明なども利用し、就寝前は暗めに設定していく。
・寝室のインテリアを優しい色味にする。
・心地よい肌触りの寝具や、ナイトウェア、ルームウェアを選ぶ。
・就寝前に携帯を見過ぎないようにする。
・お気に入りのアロマを使う。(入浴剤、ピローミスト、寝室など)
お気に入りのアロマで気持ちもリラックスすると、副交感神経が優位になり、穏やかに入眠しやすくなります。
なにかの香りを嗅いだ時、その香りを嗅いだ時の懐かしい思い出が急に蘇ってくることがあります。(これはプルースト効果とよばれています。)
香りは鼻から脳へ伝わり、感情にダイレクトに作用する仕組みがあるのです。
鼻の嗅上皮細胞でキャッチした香りは、直接大脳の内部にある大脳辺縁系へと伝わります。大脳辺縁系は感情・情動をつかさどっていて、香りによる刺激は前述のホメオスタシスを調整している自律神経系・内分泌系・免疫系を支配する視床下部や脳下垂体に伝達されます。
ストレスで乱れた自律神経や免疫系がアロマの香りによってトトノウのは、香りが脳に直接作用して、感情や記憶、行動、睡眠に効果的に作用するからなのです。
~香りでトトノエル、おすすめアロマ~
自分にとって心地の良い香りであることが大切ですが、心が落ちつく、安らぐアロマをご紹介します。
<フローラル系>
・ラベンダー
・ゼラニウム
<柑橘系>
・スイートオレンジ
・ベルガモット
<ハーバール系>
・サンダルウッド
・スイートマジョラム
~香りでトトノエル、おすすめの使い方〜
・寝室内にデフューザーでアロマを香らせる
・枕元にアロマオイルをストーンなどに垂らしておく
・枕に香りのサシェを入れておく
・器具がない場合は、コットンやティッシュにアロマオイルを垂らす
また、ときには自分の心と身体の声を聴く時間を持ち、自分にも優しくすることを忘れず、心を柔らかく持っていくことも大切です。
自律神経が乱れてしまう前に、香りを使って睡眠をトトノエていきましょう。
まとめ
・セロトニンを増やして自律神経を整える
(太陽の光を浴びる・規則的な運動をする・たんぱく質『トリプトファン』をとる)
・香りを利用する~香りでトトノエル睡眠週間
・時には心と身体の声を聴いて、自分にも優しく、心を柔らかく持っていく