サフラン

白い器に黄色サフランの粉、サフランの花。
秋に植えた球根から芽が出ているのを見かけると、そう遠くないうちに春がやってくる、と気付かされます。

チューリップ、水仙、ムスカリ にクロッカス。
紫の可憐なベルの様に咲き誇るクロッカスはアヤメ科・クロッカス属の多年草。スパイスに使われるサフランは、同じ仲間です。
そっくりではありますが、決定的な違いは雌蕊(めしべ)の色と開花時期です。クロッカスの雌蕊(めしべ)は黄色くて短く、春に咲きます。一方、サフランの雌蕊(めしべ)は赤から橙色で長く、秋に咲きます。

今回はそんな「サフラン」についてのお話です。


 

サフランについて


サフランを手づみ

世界で最も高価なスパイス

サフランは雌蕊(めしべ)の先端部分のみを使用するため、1gのサフランを収穫するためには、およそ150300個の花が必要になります。
伝統的に手摘みであることや、収穫量も限られていているので、価格は高騰してしまいます。食材店のスパイス売り場では、産地や品質によりますが、1gが約1,000円前後で売られています。

サフランは世界で最も高価なスパイスなのです。

 

サフランの歴史


サフランの花を植えている

歴史は古く、4000年前の西アジア(現在のトルコ周辺)ではすでに薬用目的で栽培されていたとされています。また、旧約聖書の中で、「すばらしい香り草」として登場しています。その美貌と知恵で英雄たちを虜にしていたクレオパトラもサフランを愛用していました。サフランは、シルクロードによって世界中に運ばれ、飲食用、香料、染料、医療などに使われてきたのです。

日本には江戸時代に薬として伝来しました。

サフランの原産国

サフランはヨーロッパの南、西アジア周辺地域原産です。主要な原産国はイランで、世界の生産量の80%を占めています。
イランは乾燥した空気、晴れの日が多いこともあり天候がサフラン栽培に適しています。ちなみに国内生産量1位は大分県。

 
 
 

サフランの香り


サフランの紫色の花

サフランの香りの主成分はサフラナール。
干草のようで、独特のスパイシーさもあり、そして甘みも感じます。

天然のサフランはあまりにも高価なので、香料素材としては使われていないのが現状ですが、古代から使われてきた歴史ある香料なので、そのエッセンスをデザインして魅力ある香りを表現した香水は多数見られます。
 

サフランをモチーフにした香水

LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)

LES SABLES ROSES(レ・サーブル ローズ)
MILLE FEUX(ミルフー)
NOUVEAU MONDE(ヌーヴォ モンド)

全てルイ・ヴィトンのインハウス・マスター・パフューマ、ジャック・キャバリエの作品。


 
BYREDO
(バイレード)

BLACK SAFFRON(ブラックサフラン)

ストックホルム発のブランド。「旅」も重要なテーマに。

 
L’ARTISANPARFUMEUR(アルチザンパフューム)

SAFRAN TROUBLANT(サフラン トロブラン)(生産終了)
 
 

JO MALONE(ジョーマローン)

・サフラン コロン インテンス(生産終了)
 
 
 
 

サフランの香りや効能にクレオパトラも魅了されていたようです。ローズやサフランをお風呂に浮かべて入浴していました。また、サフランの染料を化粧にも使っていました。

古代エジプト時代に調香され、クレオパトラが愛した香り、キフィーにもサフランが使われていたのです。キフィーは寺院や家で夜に焚かれました。治療のほか、良い眠りの為でもあったそうです。

キフィー:古代エジプト時代に調香され、ファラオやクレオパトラに愛された香り。いくつかの処方が残されている。神々への供物であり、治療にも使われた。主な成分には、乳香(フランキンセンス)、没薬(ミルラ)、ワイン、サフラン、カシア、干しぶどう、はちみつ、ジュネ(エニシダ)、ジュニパーなどが含まれている。
 
 
 
 

最近の研究でサフランの香りには肌の潤いを促進、ストレス軽減、高い抗酸化作用が認められたそうです。まさに、クレオパトラの美貌には欠かせない香りだったのでしょう。

 
 
 

サフランの効能


白いティーカップに入った黄色いサフランティー  
中国では古くから生薬として扱われてきました。

日本では番紅花(ばんこうか)と呼ばれる漢方として、鎮静、鎮痛作用、月経誘発、風邪などに使われています。特に子宮に作用することが知られており、月経困難症、更年期障害、冷え性、うつ病、不眠など女性のライフサイクルに優しい生薬なのです。

*女性の味方サフランティー*

夜寝る前に飲むと、リラックス効果でよい睡眠が期待できます。

~サフランティーの作り方~

ティーカップにサフランを510本入れてお湯を注ぎます。
蓋をするなど、少し蒸らして黄金色になったら出来上がりです。

味は薄目なので、はちみつや砂糖、その他のハーブとブレンドしてもよいでしょう。
女性ホルモンに作用するため、妊娠中、授乳中は控えましょう。

 

サフランの使いかた


青いフライパンに入ったパエリヤ

サフランと言えば、南フランスのブイヤベース、モロッコのタジン、なんといってもスペインのパエリアが有名です。
その他にも、サフランリゾット、サフランケーキにサフランティーにサフランコーヒー。
世界には様々なレシピがあります。中でも魚介料理やお米と相性が良いようです。

ほんの少量を水に溶かすと黄金色の液体になります。

この黄金色の正体は「クロシン」。水溶性の黄色い色素です。

(使い方)
サフランをほんの少量(約0.1g)、水やぬるま湯に溶かし、
10
分~15分待つと、黄金色に色づきます。
この黄金色の水溶液でお米を炊いたり、スープに使用します。

また、ホワイトソースにも合うサフラン。牛乳に浸して色を出してから使います。

まとめ


・クロッカスとサフランの違いは、開花時期と雌蕊の長さ、色

・サフランは世界で最も高価なスパイス

・サフランの主要原産国はイラン、日本国内生産量1位は大分

・サフランは古くから飲食用、香料、染料、医療に使われてきた歴史あるスパイス

・お料理にはほんの少量で芳醇な香り、黄金色(水溶性の色素クロシン)の液体に

・古くから飲食用、香料、染料、医療などに使われてきた

・サフランの香りには肌の潤いを促進、ストレス軽減、高い抗酸化作用があり、美容にも良いらしい!

同じ色のターメリック(ウコン)や、紅花で代用する場合も多いですが、特別な日には本物のサフランを使って黄金色に輝き、芳醇な香りのするパエリアやサフランリゾットを作ってみたいものです。

夏頃球根を植えて、秋に雌蕊(めしべ)を収穫してみましょう!

 

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